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【読書感想】宮下奈都さん著「窓の向こうのガーシュウィン」読まされる感じがたまらなく気持ちいい

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宮下奈都さん著「窓の向こうのガーシュウィン

最近「羊と鋼の森」で本屋大賞を受賞された作家さんの作品。

 

内容(「BOOK」データベースより)

周囲にうまく馴染めず、欠落感を抱えたまま十九年間を過ごしてきた私は、ヘルパーとして訪れた横江先生の家で、思い出の品に額をつける“額装家”の男性と出会う。他人と交わらずひっそりと生きてきた私だったが、「しあわせな景色を切り取る」という彼の言葉に惹かれて、額装の仕事を手伝うようになり―。不器用で素直な女の子が人の温かさに触れ、心を溶かされてゆく成長ものがたり。 

 

 

読んでる途中で一瞬「あわないかも」という思いがよぎったけど、結局おもしろくて最後まで読まされた。いい意味で「読んだ」じゃなくて「読まされた」感じ。

 

前半は小川洋子さんの「博士の愛した数式」を思い浮かべざるをえない設定と雰囲気。大好きな世界だ!と思いつつ読み進めると、全然違ってくる。きれいな世界観なんだけど、なんだか言葉が直接的で多め。洗練なんて知らない! 書きたい、伝えたいこと書く!って感じ。

 

 「うちの炊飯器がこんなにいい仕事をするのを見たことがありません。佐古さん、正直に教えてください。どうしたらこんなにおいしいご飯が炊けるのですか」
 すみません、すみません。ほんとうに炊飯器のスイッチを押しただけなんです。ー 謝ったりするようなことではないのはわかっていた。だから、謝るのは我慢した。傍目にはただぼうっとしていたように見えただろう。
 こういうときに、相手をよろこばせるような答をいえる人が私は好きだった。そしてそれは望んでも自分には手に入らない能力だということもわかっていた。

 

前半の一番ステキなシーン。一部引用だと伝わらないけど、人の優しさに触れて戸惑ってる感じがたまらない。ぼくは「相手をよろこばせるような答をいえる人」がうらやましいと昔から思ってるし今でも思ってる。

 

 私はほんとうに赤い自転車がほしかったのか、鬼ごっこに交ぜてもらいたかったのか。覚えていない気持ちを想像して胸を塞いだってしかたがない。私はトンボを頭に止めたかったのだし、めずらしい黄緑色のロドリゲスに跨がりたかった。そうではないかもしれないけれど、そうかもしれない。意識しなかった気持ちを掘り起こすのはやめよう。とりあえず私は今日も元気ではないか。

 

グッときた文章。意識しなかった気持ちを掘り起こしそうになってあわててストップをかけるのはよくやる。だからすごく共感してしまう。

 

感情に名前をつけちゃいけないという直感は正しかったと思う。どんなにごまかしても、いったん名づけてしまった感情は自分ですぐにそれと気づいてしまう。道の向こうから歩いてくるのを見つけて駆け寄っていくような、向こうもこちらを見つけて手を振ってにこにこしているような、そんな近しさが生まれてしまう。

<中略>

ここで起きるひとつひとつの事柄をまとめて丈夫な麻袋に入れ、口を紐でしっかり縛っておく。ときどき必要なときにちょっとその紐を緩めてやる。袋からいい匂いが立ち上る。目を閉じてそれをひょうっと吸い込む。
 それだけでいい。この先は危険だ。防衛本能みたいなものがびりびり反応している。

 

どうです? この気取らない、飾らない感じの文章。新鮮な感じ。

そして「感情に名前をつけちゃいけない」っていうところに激しく共感。簡単に名前をつけられない(定義できない)何かっていうのがぼくは好きだから。文学とか小説とか好きな人はみんなそうだと思う。

 

結局のところ、とってもおもしろかったということ。

「読まされる」って気持ちいい。 

 

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