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【読書感想】本谷有希子さん著「生きてるだけで、愛。」(芥川賞候補作)等身大のメンヘラ女子のつらさが痛々しいけど、その中での救いを味わえる

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本谷有希子(もとやゆきこ)さん著

「生きてるだけで、愛。」(芥川賞候補作)

 

本谷有希子さんは、つい最近「異類婚姻譚」 という作品で芥川賞を受賞された作家さん。これまでに3作品芥川賞候補作になっている。「生きているだけで、愛。」もその1つ。

 

内容(「BOOK」データベースより)

あたしってなんでこんな生きてるだけで疲れるのかなあ。25歳の寧子は、津奈木と同棲して三年になる。鬱から来る過眠症で引きこもり気味の生活に割り込んできたのは、津奈木の元恋人。その女は寧子を追い出すため、執拗に自立を迫るが…。誰かに分かってほしい、そんな願いが届きにくい時代の、新しい“愛”の姿。芥川賞候補の表題作の他、その前日譚である短編「あの明け方の」を収録。 

 

おもしろかった。読み始めてすぐ惹きこまれた。

痛々しいメンヘラ女子を描いている。無職、過眠症、情緒不安定。

村上龍さんの「限りなく透明に近いブルー」を思い出した。それを読んだときと同じ雰囲気がしたということ。内容が似てるわけではない。

暗い感じ、とかヒリヒリする感じ、とかだとどうもしっくりこない。

限りなく透明に近いブルー」みたいな感じというほうがしっくりくる。

 

つらい場面が多くて、主人公とシンクロして読むと一緒につらくなるけど、救いもある。この作品は、そんな苦しい状況でも愛があるって言ってくれてるから。

だから読後感はいい。 

 

ストーリーに起伏があるから、そこは知らずに読んだほうが楽しめる。そこをバラさらないようにしつつ、「おっ」と思ったところをご紹介。

 

くそ、違う。こんなことが言いたいんじゃない。おかしな方向に話がずれている。この馬鹿があたしをないがしろにするからだ。あたしのことを適当にあしらうから。あたしはあんたが手袋をはめて「本当だ、何これ。あったかいわ。すごいね、寧子」って感謝されたいだけなのに、なんでたったそれだけの簡単ことがうまくいかないんだ?

 

会話をしながらどんどんおかしなほうに向かっていくということがある。どんどんイライラが募り、どんどん意図と違う言葉を発してしまう。ぼくはたまにそういうことをしてしまうので、すごく共感できる。

 

他の人はなんでもないことのように朝起きて夜寝るっていうのに、自分にとってはそれがまるで無理難題みたいに立ちはだかって意味が分からない。日が出ているうちに起きる。たったそれだけのことがなんでできないんだ? 自分は本当にみんなと同じ生き物なんだろうか? あたしには何が欠落している?

 

"自分は本当にみんなと同じ生き物なんだろうか?"にすごく共感できる。昔からよく感じていることだ。今でも感じている。 

 

「あんたが別れたかったら別れてもいいけど、あたしはさ、あたしとは別れられないんだよね一生。

<中略>

それはもうあきらめるしかないんだよね? あきらめなきゃ駄目なんだよね? いいなあ津奈木。あたしと別れられて、いいなあ」 

<中略>

あたしはこんな自分に誰よりも疲れていることを津奈木に知ってもらいたくて、

<中略>

最後の最後まで津奈木に一緒に疲れてほしいと願っている自分に心から嫌気がさしたけど、どうしてもそうせずにいられなかった。

 

 "自分は自分と別れられない"つらさ。自分を愛せなくなるとこれを感じる。ぼくは何度も味わってる。きっと、生きていれば誰しも弱っているときがあって、こういうつらさを感じるんだろう。

 

 

引用した魅力的な部分は全部暗いけど、この作品には"愛"という救いが描かれている。かろうじて救いがある。

 

"つらい中での愛"、"つらい中での救い"

味わえてよかった。 

 

この本に収録されている、前日譚である短編「あの明け方の」もおもしろかった。「おまけ」っていうレベルじゃなかった。

 

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 とりあえず…

今日は生きるつもり。

 

 

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